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2012.09.08

フラグベント 第三話

えー、大分、間が空いてしまいましたが3話目です。2話目が一応バトル回だったのでお次は平和回です。
この次はまたバトル回になると思います。4話目もまた大分空いちゃうかも・・・。
アイデアやらは貯めてるんですけどまとまらないのです。だ、大事に書いてるんだい!
と言う訳で、特に落とし所も無く、つまらない回かもしれませんが。


前回までのあらすじ。

ニートだかフリーターで記憶喪失でヘタレな青年、幕ノ内ベント君。
ある日、お金が無くて公園で行き倒れていると、
美人で家庭的な女性、飯田松花さんに救われる。
素敵な出会いに喜んでいたのも束の間、
バイト先の深夜のコンビニで強盗に襲われた!
ついでに現れた変な仮面のおかげで何とか窮地を逃れたものの、
変な仮面は家までついてきてしまうのでした。
一体、何なんだあ、こいつは!


Frag"B"ent - フラグベント -

第三話 「 見守る会 」


ファミリーセブン強盗事件から2日。
店はもちろん休業。
現場検証、片付け、事情聴取やら、
哀れ、山田さんは店は休みと言うのにちっとも休まらなかったそうで。

「ベントく~ん、棚の片づけ手伝ってよー」

部屋に設置の黒電話から 某青狸に懇願するメガネ少年の如くな山田さんの悲鳴。
恩人であり、更に日中暇人となれば出て行かない訳にはいかないわけで。

『けっ。わざわざ行かねぇでもいいんじゃねぇの?』

部屋の中を仮面がふわふわと浮いて、悪態をついている。
一体、どう言う仕組みなんだろか。

「いやいや、人から何か頼まれるのが嬉しいし。」

その電話で今し方起きたベント君。
今日もぐうたらのんびりニートである。
寝癖でグシャグシャな頭でニコニコしている。
そのまま、テレビのスイッチをつけた。

“・・・国各地の飲食店で、喰い逃げ犯の被害が増加しています・・・警察はこの件に関し・

・”

「喰い逃げってタダでご飯食べられる事だったか。」

『ああ、捕まんなきゃな。』

「犯罪の一種かあ。世の中ってやっぱ物騒なんだ・・ふわああ」

次に、部屋横の窓のカーテンを開ける。
シャッと言う音と共に、午前中の眩しい光が部屋ん中に入って来る。

「うおっ、まぶし。」


“・・・日、首輪が首に食い込み、窒息していた犬が保護されました。・・・また、市内の公立高校では引き続き、十分な警告を呼び掛けると共に・・”

『・・・何だあれ。』

仮面が訝しげに、窓の外を見ている。

「あれね、よくいるんだよ。」

窓の向こう、外の通路になっている場所の金属製の手すりの上にカラスが乗っている。

「パン屑やっても食べないし、寄って来ないし何だろなあ」

『ゴミ漁りじゃねぇの?』

「いやいや、ゴミ出すのは建物裏手だからここじゃ見えもしないよ」

『間抜けな奴がいるなあって嘲笑ってんだよ。鳥って頭いいんだろ』

「そうだけどさー・・俺だってどうせ暇ばっかだし、こう、ペットじゃ無いけどさー・・」

『野生の奴じゃ無理だろ。確か捕まる法律があったような・・・っておい。どうした』


と、いきなりベント君、血相変えて外に飛び出して行くのであった。

『何だ何だ』

すると、外の通路に現れ、そろそろとカラスに手を伸ばしている。

バサバサッ

「あー・・ 駄目かあ。」


『何お前。捕獲しようとでも思ったのか。』

「いやほら、何かね首んとこキラって光ったからさあ」

窓越しに会話をする、一人と物(?)。

『あれか。虐待?』

「かなあーって思ったんだけどね」

『別に、様子がおかしいとか無かったじゃねぇか。それよりお前、コンビニ。』

「そうだな・・山田さん待ってるよね。」

バタバタと部屋へ戻り、身支度をする。

「って言っても、財布と部屋の鍵ぐらいしか持ち物無いんだけどね・・」

ちょっと寂しく思いながらそれらをポーチに入れる。

で、

『俺様も行く~』

そこに自分からすっぽり収まる仮面。

「お前さんも行くのかい・・。いいけど、あんま人前で喋んないでよ?浮くのは論外だな。」

『わーかったよ。ってかいちいち反応しなきゃいいんじゃね?』

片方の留め紐がヒラヒラとこちらに手を振る様に動く。

「う・・気になるんだよ! あと、そうだなあー そろそろ何か呼び名欲しくない?」

『別に』

「仮面・・太郎?カメタロウ・・・?」

『却下却下! だああ、もう早く行けっ!』

どうも、考え事すると他の行動が出来ない性質のようだ。
性格も行動もフラフラとは一体どうしたものか。

「仮面・・男? カメ・・オ、カメオでどうよ。何か高級感もある気がする、うん。」

『どうでもいいからほれ行けって。まただせぇ名前付けやがって。』


ポーチが足にくっ付いてるので、何だか左足だけ引っ張られるように玄関を出て行く。

一人と、物が部屋を出て行くと、窓の外 手すりの上に何かが止まった。

「・・・・・」

カラスだ。日の当たり具合により、首元がわずかに光る気がする。
さっき、捕まえ損なったのと同じ奴だろうか。
正面・・部屋の方を向いていた顔をふいに横に向ける。
これで、片目が部屋の方を捉える。

「・・・・・」

目の奥、幾重も重なった黒い円が動く。
まるでカメラのレンズがズームでもしているかのように。
そのまま 微動だにせず、カラスは無人になった部屋を見つめる。
そう、〝監視〟や〝盗撮〟でもしているかのようにずっと見ているのだった。



「山田さーん」

ファミリーセブン遠流町店にノンキな声が響く。

「ああ、ベント君、待ってたよー」

店の奥からメタボ気味で、頭髪量の少ない眼鏡の中年男性が出てくる。
今日は、店は休業なので揃いのポロシャツでなく、自前の服だ。
しかし、単色のポロシャツだった。・・・オレンジ色をしている。

「何かねぇ、警察の人から色々聞かれたり、取材が来たりで全然片付かないの・・」

「あ、ほんとだ・・棚とかまだそのまんまじゃないですか」

あの日、強盗がふっ飛んでぶつかった棚はそのまま。
落ちた菓子類は一応、ひとまとめにして近くのダンボールに入っている。

「ガラスとか割れなくて幸いだったよ。僕らも犯人も大した怪我も無くて良かった。
いや、犯人は許せないけどさ。」

「で、俺 何したらいいですかね?」

「大まかに言ったら片付けの手伝いだね。
また発注掛け直しだから、そこのダンボールの中のお菓子を数えてくれる?」

「無事なのもやっぱり・・」

「そうなんだよ。ケチが付いちゃうともう売れないってヒドイよね。
安売りセール品にでもしようと思ってるんだけど。僕はちょっと書き物があるもんで」

「はい。では、精一杯務めさせていただきます。」

「頼んだよ。いやあ、助かるよ、ホントに。」


と言う訳で、ベント君は後片付けの手伝いをする事になったのだった。
事件はレジ周辺で起こったのでそこら辺が片付けばほぼ終了だろう。

「じゃ、片付けるか。」

勢い込んでダンボールの前にしゃがみ込む。

秋の味覚 ハロウィン大作戦 トッポイ キャラメルパンプキン味 10箱
ハッカの香り 病み付き患者急上昇中 パイポの実 6箱
100名様に大人気〝まっぺ〟オリジナルぬいぐるみプレゼントキャンペーン中 
秋季限定 マロンコンソメ味 ポテトチップス  8袋・・・

「うーん、もったいない。オバケが出るくらい。・・このキャラ可愛いな。」

と、作業中盤に差し掛かったところ、顔を上げてこれらが収まっていた棚を見る。

典型的なコンビニ陳列用スチール棚だ。
中敷き3段、最上部に物を乗せて、4段物が置ける。
袋モノが恐らく、最上段、無難な箱モノがその下段に置かれていただろう。

で、その棚の真ん中二段部分が手前数センチ程曲がっている。
恐らく犯人が自分から突っ込んだ際に出来たへこみだろう。

それを見てふと、考える。

(これ・・・こんだけなら逆から曲げれば直るんじゃない?)

上手くいけばコンビニにだってメリットがあるじゃないか!
山田さんも喜ぶぞ!

・・・囁いたのは本当に天使の方だっただろうか。

「こう・・・持って こうか!」

べきょ。
力の加減を間違えたのか今度は手前の方に飛び出る棚。

「いや、ほらじゃあこっちから押せば!」

がんがんがん。
案の定、へこみ過ぎる棚。初期位置よりはマシか。


・・・それらの作業を3ターン程繰り返した結果・・・


「直った!」

若干歪みが見受けられるが、何とか本来の位置に戻った棚がそこにはあった。
・・・金属寿命的にはあまり考えない方がいいかもしれない。

「ふっふっふ。やれば出来る子なのだよ。・・・おっと、本来の作業も片付けねば。」

そうして菓子の数量検査に戻る。

定番商品が極小サイズで新登場 ミニチロリンチョコ 125個・・・

「こ・・・細けぇ。何コレ・・・ん?」

コンビニの玄関口、自動ドアの方を見るように作業していた為、
誰かそこにいる事に気が付く。 お客だろうか?

「はいはい、いらっしゃいませ」

出て行くと、客(?)はおどおどと目の前に現れたベント君を見上げる。
どうやら、学生のようだ。
くしゃくしゃのくせ毛で、特に着崩すでも無く制服着用。
スポーツブランドのリュックを背負い、どっからどう見てもその辺の中高生の少年と言った

感じだ。

「あ、あの 今日 コンビニ・・は?」

「片付けの為休みです。ごめんね。」

「あ、そ・・そうですか。」

「もう片付くから、そうだねぇ・・あ、ちょっと待ってね。」

そう言って、一旦、店の中に戻るベント君。奥に向かって大声を上げる。

「やま・・あ、てんちょーーーお!」

「はーーーーい」

「営業いつからやるんですかあああー」

「明日からああーー」

・・・再び入口に戻ってくる。

「と言う訳で、明日からまた営業しますので。」

「あ、はい。わかりました。有難うございます。」

ぺこりとお辞儀をし、帰って行く少年。
背を向けた時、リュックの表面がこちらに見える。
同型のリュックを持ってる学生も多いからだろう。
大きめのネームタグが手前の小ポケットのジッパー部分に引っかかっていた。
そこには、シンプルに苗字だけが書いてある。
漢字二文字ならば、それだけの瞬間でも読みとれた。

タグには〝飯田〟と書かれていた。


「あー。それなら割引券ぐらいあげちゃっても良かったかなあ」

「いやでも、山田さん。今回の件、こちらには非が無いんじゃ・・」

「こう言う地道なのが大事なの。割引券って言ったって30円引きとかそんなんだよ。」

「ふむふむ」

「じゃ、ベント君ご苦労様。あのお菓子から好きなの持ってって。」

「え。やったあ。いいんですか!」

「ただし、さっき書いた在庫チェック表にその分-1しといてね。」

「はーい!では、店長、お疲れ様です。お先に失礼します。」

「ふふふ。ベント君も大分サマになって来たよね。
最初は本当この子大丈夫なのって思ったもんだったよ。」

「しっ、失礼しまっす!」

逃げる様にその場を去るベント君。
お菓子は結局、キャンペーン目当てでポテトチップスをもらったのだった。

平日の真昼間。
そろそろ昼ごはん目当ての会社員がそこらを歩きまわる頃だろうか。
少し前の時間の為、人通りはまだ少ない。

『マロンとコンソメってどんなセンスしてんだよ!作った方もそんで貰った方もだよ!』

「さて、今日はどうしようかなー・・・って実はもう予定を決めてるんです。」

『あ、そーなの』

興味無さそうなカメオの声。

「今日はね、飯田珈琲店に行くのです。」

『ふーん』

「いやー、ファミリーセブンに近いって聞いてたからね!丁度いいと思って。」

『・・・・』

そうして、ベント君の足は、
以前お弁当を頂いた彼女、飯田松花さんの勤める飯田珈琲店へと向かうのでありました。


カラコロカララン ♪

喫茶店独特の涼しげなベル音が客の来店を告げる。

「はーい、いらっしゃいませ。」

エプロン姿の女性が笑顔で応対してくれる。
店内は、カウンター3席、テーブルが2席、奥に丸テーブルが1席とやや小さめだ。
カウンターの向こうではバンダナ頭の男性がこちらに背を向けて何やら作業をしている。
奥の丸テーブルにはどうやら3人程先客がいるようだ。

「あ。もしかして、この間、公園でお会いした・・?」

「は、はい。幕ノ内ベントです。その節は本当にどうも有難うございました。」

すると、何だか店内の空気が変わった気がした。
奥のテーブル席から視線を感じる。

「こちらこそ、御来店有難うございます。席はどうしましょ・・」

「松花さん!」

ここで、店の奥の方から声が上がる。
先客の三人組の一人のようだ。

「こちら一席に通してやって。」

「あら・・お知り合いでした?じゃ、向こうに。お冷お持ちしますね。」

「え? あ、はい・・・」

絶賛流されるままのベント君。
奥の丸テーブル席、四人がけの一つに座る事になってしまいました。
お冷を取りに、店のカウンター裏へ消える松花さん。
渋々、そちらに向かいます。

「で、お前さんか」
「しょ、松花さんの手作り弁当を食べたって言う・・」
「ラッキー野郎はああああ」

「え゛・・」

3方向から恨みのこもった視線を浴びせられ、困惑するベント君。

「ふむ・・・何とも頼りなさそうな輩。」
「その態度・・肯定と受け取っていいんですね?」
「その羨まけしからん状況、全部吐いてもらおうか」

「そ、その前に誰ですか貴方方・・・」

一人は、瓶底眼鏡で七三分けに詰襟の学ランを来た年齢不詳の男性。
「私は、〝シチサン〟です。学生をやっています。」

もう一人は、パステルカラーを着こなす額に刻まれた皺が年齢を感じさせる好々爺風。
「ワシは、近所のジジィ、〝パステル〟じゃ。」

最後の一人は、タオルを頭に巻きペンキでカラフル模様に染まった元はミント色のつなぎ

を着こなす兄貴とでも呼べそうな風貌。
「オレは、塗装業の〝ペンキヤ〟だ。」

「え、何で皆さんその・・コードネームみたいな」

「「「その方がカッコいいからだ」」」

「・・・・・。」

パステルが言葉を続ける。

「で、お前さんが噂の〝弁当君〟だったわけだ。」

「噂・・?」

と、ここで松花さんがお冷を持ってくる。

「皆さん、ここの常連さんなんです。
公園での話をしたらその人はいつ来るのかって随分、楽しみにしてらしたみたいで。」

仲良さそうで良かったとでも思われているのか。
さっきと変わらずにこにこ松花さん。

「で、注文どうしましょうか?」

「ええと・・「松花さん、エビピラフ。」「ワシも。」「俺も。んで、こいつも」

「はいはい。では皆さん、ごゆっくり。」

勝手に注文されてしまった・・。

「これで、しばらく時間の確保が出来たのぅ」
「では、話を聞かせて頂きましょうか」
「で、何者かな、アンタ。」

「あの・・その・・・」

そうして1、2話のくだりをまとめて話す羽目になったベント君でした。
カメオとかコンビニ強盗ははしょったそうです。

「そ・・そうでしたか。」
「ふむ。その風貌でもしやチャランポランかと思ったが・・」
「兄ちゃん、苦労してるんだな。」

記憶喪失の件から、皆さんだんだん優しくなって来ました。
どうやら悪い人達では無いようです。

「では、入会して頂こうか」
「はい。パステルさんが言うならば。」
「こちらも異論無しだ。」

「入会?」

え、やだ。宗教勧誘?と、身構えると・・

「すばり、」
「飯田松花さんを」
「見守る会 だ!」

・・・ようするにファンクラブのようです。
「違う!見守る会じゃ!」
・・・違うようです。

「ワシらは、もう5年程この会を続けとる。」
「で、今回抜け駆けした不穏な人物がいると聞きましてね」
「どんな奴か見極めようってことになった。」

「そ、そうなんですか・・・」

ほっとしたやら、何なんだこいつら疑惑が強まったやら

「して、お主!」

急にパステルが語調を荒げます。

「はっ、はいぃ?!」

「惚れておろう。」

「へ?」

「惚れとるんだろう?!」

「は、はいぃ!」

「では、入会じゃ。不審な行動は慎むように。」

「・・・・。」

ようするに、皆 志は同じと言うか、恋のライバルと言うかそんなもののようです。

「で、俺も付くんですか、あだ名・・・」

「君は、もうそのまま〝ベント〟君でいいんじゃないですか。」
「おう、そうだな。」


「はい。皆さんお待たせしましたー。」

と、ここで料理が登場。
グリーンピース、人参、焼き色の付いた玉ねぎ、ベーコン、プリプリの海老。
控えめな味付けがそれらと白米に絶妙に絡み合い・・まあ早い話、美味しい訳です。
ちゃんと丸く山型に盛りつけられているのも好感触。

「「「「・・・・・。」」」」

何か言えよお前らと言いたくなりますが、
美味しいモノを食べると人って本来、無口になるもの。
野郎4人は無言で口に掻っ込むのであった。
で、皿が空になると、

「いやー、いつ食べても旨いのぅ」
「ふと食べたくなってしまう味ですよね」
「いやー、おかわりするか」
「美味しかったー」

「ふふふ。いつも良い食べっぷりで、有難うございます。ベントさんも。
食後にコーヒー、置いておきますね、皆さん。」

そして、サービス満点、美人なウェイトレス。

「常連になる訳だよ。」

ここに一人、常連が誕生するのも時間の問題だったようである。
食後は、見守る会、新入りの話題で大いに盛り上がるのだった。

「今は、コンビニでバイトか。いい若いもんがそれでいいんかい」
「うーん、前は何か仕事してたのかな、俺。」
「何か困った事あったら言うんですよ。文学者絡みなら僕の出番です。」
「それ、どんな状況だよ・・・」

そうして時間が過ぎ・・

「お。そろそろ老人会の約束の時間じゃな」
「午後の講義があるので」
「昼休憩終わりだ」

「あ、そうだ。連絡先交換してませんでしたよ」
「お、そうじゃなそうじゃな。」

と言うと、ラクラクフォンを取り出すパステル。
慣れた手つきで電話帳登録画面を出す。ハイテク爺さんである。

「ほれ。入力せい。」

「は、はあ。」

ポチポチと月面荘の場所等を慣れない手つきで入力するベント君。

「お、お主・・ケータイ持ってないのか!」

驚愕の顔つきのパステル。

「へ、へぇ。」

長音が出せずに困るベント君。見兼ねてシチサンが押してくれる。

「す、すみません。」

「いいですよ。でも確かに如何にもケータイ持ってそうなベントさんが持ってなくて、
パステルさんが使いこなしてるって面白いですよね」

「ははは、まったくだ。」

「ま、電話出来なくっても僕ら昼頃大体ここにいますし。」

「困ったら〝ここ〟に来いってな。」


そんなこんなで解散となったのであった。
一気に知り合いが3人も増えたベント君。

「有難うございました。またのご来店、お待ちしてますね。」

松花さんに見送られ、店を出る。
これまた面白い事に、4人バラバラの方向に散らばって行った。

「いやー、今日はホントどうにかなるかと思った。」

『世の中、物好きだらけ、か。』

「じゃー、あとはそうだな。壊れた目覚ましの代わりを買いに行くか。」

『いいなお前、本当ノンキで・・。』

呆れるカメオ。
今日もこちらは平和そのもの・・・。
しかし、別の場面では着々とまた
事件の予感が漂っていたりいなかったりするのであった。

カラス

Posted at 02:44 | カノピコ | COM(2) | TB(0) |
2011.12.13

フラグベント第二話

Frag"B"ent - フラグベント -

第二話 「コンビニ マスカレード」

ジリリリリリリリリリリリリ

バカンッ!

叩き壊される勢いで、押されるストップボタン。
全国の目覚まし時計の運命なのであろう。

「・・夜9時か。起きるか・・ってああー!」

なんとまあ、強く叩き過ぎたのか 押しボタンが陥没してしまい、
文字盤の12時の所が潰れていた。

「またやっちまった・・。目覚まし時計だって安くないのに。」

しょげてる間にも、時間は過ぎて行く。

「それ買う金稼ぐ為にも、頑張るとしようか、今夜も!」

黄金のユニクロ装備に身を包み、意気揚々と部屋を出て行く。
幕ノ内 ベント、今日も今夜も能天気に生きている。



コンビニエンスストア。

24時間営業している、貴方の街の便利なお店。
深夜で外が真っ暗でも、コンビニだけは明るくお迎えしてくれる。
ベントが働いているのは、全国シェアも上位の、ファミリーセブン。
ピンクと緑とオレンジと青のゴッチャゴチャのカラーラインの看板が目印だ!
・・・7人家族で来ると、割引になると言う噂も流れていたりする。

裏口から、侵入し、制服に着替える。
看板と同じカラーラインを若干目に優しくしたポロシャツを着るだけで、
君も今日からファミリーセブンの店員である。
うっざい前髪は、ピンで留めて、後ろ髪は束ねておく。

「こんばんはー」

「お。ベント君、早いね。」

「あ、山田さん、お疲れ様です。」

山田さんはここの店舗の店長さんだ。
ベント って下の名前しか無く、記憶喪失だと言ったのに、採用してくれた器の大きい人である。

「で、どうなの?あれから何かわかったかい?」

「うーん・・苗字が幕ノ内になりました。」

「ええっ?! 親の感性を疑っちゃうね僕としては。」

からかうでも無く心配してくれる。
全く持って良い人である。自分は恵まれてるなあとベントは思うのであった。

「あ、そうだ。近所で聞いた噂なんだけどね」

「噂ですか。」

「最近、この辺、変な奴が出るらしいよ」

「変な奴?」

「何かね、コンビニに来るらしいんだよ。」

「深夜によくいますよ・・酔っ払いとか、不良っぽいのとか・・。」

「そうじゃないの、そうじゃないの。」

「やだ。オバケですか?」

「あー、近いかも。」

「ええっ!夜にそんな話、止めて下さいよ・・」

「何?ベント君、こういう話、駄目なタイプかい。」

「あ、お客さん。」

「おっと、いらっしゃいませー」

「弁当温めますかー」 「お箸お付けしましょうかー」 「403円になります。」

「でね、さっきの話の続きなんだけど」

「やっぱり聞く羽目になるんですねぇ」

「何かね『弁当は何処だ?弁当は何処だ?』ってそればっかり言ってるんだって。」

「そりゃ、コンビニにいっぱいありますからねー」

「店員が棚を案内してあげるんだけど、『何処だ? 何処だ?』の一点張り。」

「何か、病気なんじゃないですか?それ。」

「で、こっからなんだけど、ソイツが帰ってった後に監視カメラを確認したんだけど」

「映って無いとか?」

「いや、何かね、その人の部分だけすんごいぶれてるんだって。着てる格好もわかんないの。」

「はー・・オバケ的ですね。」

「でしょ?でしょ? ちなみに昨日は向かいのデカストップに来たんだって。」

「ええっ!すぐ近くじゃないですかっ!」

「そうなの、そうなの。だからさ今日ぐらいウチに来るんじゃないかって」

「で、でも来たらどうすりゃいいんですか??」

「大丈夫大丈夫。強盗じゃ無いみたいだから、丁寧に応対すりゃ帰ってくれるよ」

「言葉通じて無いんでしょ、その人・・。」

「あ。お客さん。いらっしゃいませー」


その時、客が続けて入店して来た。
花粉症だか、風邪だかしらないけどマスクをしてセカンドバッグを持った中年ぐらいの男性。
帽子も深く被っていて、顔の判別がつかない。
入るなり、そそくさと、飲み物のコーナーの前に行ってしまった。

そして、もう一人。

一目見てわかった。
コイツが件の変な奴だ。

足取りがおぼつか無く、何だか誰かに操られているかのような歩き方。
服装は、特に奇抜な所も無い。部屋着でふらりと寄ったと言う格好。
ユラユラと肩を揺らせて、レジの方へと向かって来る。
手には何も持っていなかった。持っているようだったら、即行カラーボール漬けだ。


まあ何と言っても目を引くのは、そいつの〝顔〟だった。

顔と言うか、何かお面・・いや「仮面」のようなものを被っているのだ。
それが、何とも言えない奇妙なデザインをしているのである。
目に当たる部分の下に、それぞれ、形の違う口の絵が描かれている。
どちらも、口角を吊り上げて、ニヤニヤと言った笑い顔だ。
それぞれが独立した〝顔〟に見え、持ち主のと合わせてさながら顔が三つも存在するかの様。

そいつがこちらを向く。
俺は何故だか目を離せなくなっていた。
この数カ月の間だってこんな変な奴など見た事が無い。

そしてそいつと〝目〟が合った。
持ち主の目では無く、仮面の上の塗りつぶされた黒玉が、
本来の目であるかのように動き、こちらを見据えたのだ。

持ち主の口で、店長に先ほど聞かされていた文句が発せられる。

  
  「ベ ン ト  は  何処だ?」


弁当 なんかじゃない。

これは、きっと・・


「ひょえええええええ」


素っ頓狂な悲鳴が隣から聞こえて、はっとなった。
見ると、変な奴と一緒に入って来た、マスク野郎が山田さんに刃物を突き付けている!

「や、山田さん!」

咄嗟に叫んで近付いたが、哀れ、山田さんは泡を吹いて気絶してしまった・・。
良い人ではあるんだけど、メンタル面は脆い方だったらしい。
マスク野郎の方も、要求を言う前に即行で気絶されてオロオロしていた。
が、すぐに、もう一人のレジ係、そう、俺の方へターゲットを変更したのである。

俺の目の前にいた変な奴は、もともとフラフラしていたのも相まって、
マスク野郎に簡単に突き飛ばされて床に倒れてしまった。
その衝撃で、あの変な仮面もはずれてカラカラと転がって行く。

またそれが良い転がり方をして、コピー機の前を通り、俺の足元までやって来た。

「おお、おい!そこのお前!」

「はいぃ!」

両手を万歳して抵抗する意思の無い事を示す。
俺だって刃物は怖い。
ああ、一体どうすればいいんだったか・・マニュアルを思い出そうとするが全然出てこない。
まさか、自分がこんな目に合うなんて。俺が死んで困るような人もいなそうだが、別に俺は死にたくない。

「こ、これに現金ありったけ詰めろ!」

強盗の定番文句だったなあと、後から思い出すとそんな風に思えるが、当時は必死だ。
マスク野郎が、セカンドバッグの中から、薄い生地でへろんへろんのエコバッグを引っ張り出し、僕に突き付ける。
震えが止まらなくて、全然いつも通りに動いてくれない手で、レジを何とか開ける。
確か、どっかにダミー札束もあった気がしたが、一体何処だったか!
恐怖やらパニックでもう、散々だ。
これからどうなるのかと思った数ヶ月前からやっと普通の生活になりそうだったのに。
初めての知り合いだって出来た。なのに、何なんだ、この仕打ちは。そう思うと泣けてきて、目にじわりと水が溜まって行く。

「つべてっ!」

唐突にそんな声がした。マスク野郎の声とも違う。俺の声でも無い。

「ったく、男がそんなんでどうするよ? 泣いてんじゃねぇよ、気持ち悪い奴だな。」

「だ、誰だ?」

つい、金を詰める手が止まってしまう。
と、目の前に容赦のない刃物の煌めき。慌てて手を動かす。

「いいのか?そいつの言われるまんまで。」

もちろん良い訳無い。

「良い訳無いだろ・・!」

「だったらよぉ、抵抗してみろよ、なあ。」

「お、俺には無理だ」

と、ここでマスク野郎もイライラして来たらしい。

「おいっ!一人言は結構だが、早くしろ!」

一人言・・?この誰かの言葉はマスク野郎には届いていないのだろうか。
こんなにはっきり聞こえると言うのに。

「無理じゃねぇよ なぁに 簡単なんだ。 ちょこっと手ぇ貸してやるよ」

「大体お前、何処にいるんだよ・・!」

「お前の足元。」

足元って、さっき 変な奴の仮面が転がって来たけど、もしかしてアレが??

「方法はたったの1ステップ。ただ、俺様をかぶりゃあいいんだ」

お金を詰め終わって渡してしまったら、この危機は去るし、
警察に連絡も出来るけど、マスク野郎に逃げ切られたりしたら・・。
恩人の山田さんのこのコンビニは大損害だ。
一矢報いれる方法があるんなら、確かにそれに縋りたい。

「ほ、本当に助けてくれるんだろうな・・。」

「ほれ、時間はあまり無さそうだぜ」

いきなり、下に屈んだりしたら怪しまれる。
俺は一芝居打ってみる事にした。

「うわっ。」

お金をわざと、下に落とす・・

「!? てめぇ、何しやがる気だ?!」

ただの短気なオヤジってだけじゃ無く、ちょっとは頭が回ったらしい。
屈んで、すぐに仮面を手に取る。
対して、マスク野郎も何と言うバイタリティ。レジの向こうから身を乗り出してこちらを切りつけようとして来た!

その、刃物が俺の顔に切りかかろうと言う瞬間と、
俺が仮面をかぶろうと言う瞬間がぶつかった。


ガキイイィン!


刃物と仮面が衝突し、派手な金属音が響く。
レジの上の札束が少しだけ宙を舞う。

思わず、後ずさる。ギリッギリで切られずに済んだようだ。
ってあれ? 手で押さえてただけで、今は押さえて無いのに仮面は落ちない。
勝手に、後ろの紐が縛られたのか?

さっきから聞こえてた仮面の声の音量が大きくなった。

「はあーはははははははっ! やっぱり、てめぇで当たりだったんだなああ!」

「で、こっからどうすんだ?!」

マスク野郎も体勢を立て直し、もう一度、攻撃に挑もうとしている。
この仮面、目の穴が見当たらないのに、ちゃんと前が見える。一体、どうなってるんだ??

「俺様に任せておけっ! お前は、そこでテレビでも見てろ。」

「テレビって何だ、おいっ!」

と抗議しかけた瞬間、周りの景色がいきなり、暗くなった。
停電かと思ったが、そうじゃないらしい。
真っ暗!と思ったが、よく見ると、プラネタリウムみたいに
細かく天井、壁とあらゆる所に星が描かれてぼんやり光っている。
中心にあるのは、他とは一線を画するクオリティで、でっかく〝月〟が描いてある。
あれだけ、妙にリアルだった。

目の前には確かに、42型ぐらいありそうなデカイ薄型のテレビがある。
この変な場所で一際明るく四角い。
ったく、こんなうす暗い場所で見たら目ぇ悪くなっちゃうだろ。

そしてそこに映ってる映像は、

「うおおお、金詰めろよ、ちゃんとおおお!」

マスク野郎ももう、何だかわからなくなっているのだろう。
殺人罪でも被りたいのか、俺を執拗に狙って攻撃してくる。
手には相変わらずの刃物。

「はんっ。やっと、ちゃんと動けるようになったと思ったらこんなのが相手かよ。」
 
喋ってるのは俺じゃない。仮面だ。
猪突猛進モードのマスク野郎の突撃をヒラリと造作も無く避ける。

「ほれほれ、こっちだっての!」

オマケに挑発だ。余裕綽々と言った所。
しかし、画面に自分と同じものが映って、
自分の意図しない動きをしているって言うのは何と言う気持ちの悪さだろう。

突撃したマスク野郎が、そのまま、菓子棚に突っ込んで行った。
派手な音と一緒に商品が散らばる。
ああ、あの見た事無い新製品、陳列したばっかりだったろうに!

「う、うおおおおおああああああ!」

もう、言葉になってない。擦り傷だらけになったまま、またも 俺の方に向かって来る。

「あーあー、面倒クセぇ。」

そう言って、仮面が右手の人差指を、マスク野郎に向ける。

「加減が分からないから適当にやるぞ?」

人差し指を、上下に一度だけ振る。 すると、



ドオオオーン 


とまた一際大きい轟音が聞こえて、閃光が走った。
何と マスク野郎目掛けて頭上から電撃が 降って来たのだ!
いや、雷が落ちて来たとでも言うべきなのだろうか??
ももも、もちろん、俺は指から雷なんて出せない!

ついでに、店内の電気も全部消えてしまった。ブレーカーが落ちてしまったようだ。
マスク野郎は、こんがり焼けて煤だらけになって転がっている。
もう、完全に戦意は喪失・・・と言うか気絶してるんだろう。

「全く、手間掛けさせやがってよぉ」

仮面がマスク野郎の所に近付いて行く。

「お前のせいで余計な面倒増えただろうが」

そう言いながら、マスク野郎の背中に腕を持ってきて交差させる。
そして、何と体重を乗っけ始めた。縛り上げるんじゃないのかよお! ミシ・・と嫌な音が聞こえる。

「ちょ、ちょっと、やり過ぎだろ!」

聞こえるかわからないけど、テレビに向かって呼び掛ける。
何とか、その、〝俺〟の主導権を取り返せないだろうか?!

この変な場所には、テレビ、そして座って見る用なのか向かいにソファ、そして間にテーブルがあった。
テーブルの上にリモコンが乗っている。

一見、普通のリモコンのようだが、よく見るとボタンが一部おかしい。
電源、チャンネル番号、音量、メニュー、 その下に、 〝切り替わり〟。

「頼む・・!これで何とかなってくれ」

元のコンビニに戻りたいと必死に思いながら俺はそのボタンを押した。








「ん・・・んあ?」

「わあ!気が付いた!良かったー」

気が付くと、目をウルウルさせた山田さんの顔があった。
首を巡らすと、どうやら店の裏の店員の詰め所、バックヤードのようだ。
そこの長椅子で俺はどうやら寝ていたらしい。首が痛い。

「ええと・・・!? そうだ! 強盗!どうなったんですか?!」

「それ、ベント君がやっつけてくれたんでしょ。
僕が起きたら皆、のびちゃってて、とりあえず犯人はふん縛って警察連絡して、他に倒れてた子は帰ってもらったよ。」

「そ、そうですか・・。あ、そういや山田さんの言ってた噂、本当でしたね。」

「弁当何処だって奴? そんなの今日は来なかったじゃない。」

強盗と同時登場じゃ無理も無いか、綺麗さっぱり無くなっちゃったみたいだな・・。

「それにしても、ベント君、お手柄だね!そんなに強いなんて思わなかったよ。」

「い、いやあ、その 無我夢中でしたから・・」

仮面被って大暴れしたなんて事は何となく言わない方がいい気がした。
あとそうだ。ぶれまくりだとしても何か手掛かりが残ってるかもしれないし、聞いてみよう。

「あ、あのそれで監視カメラに何か映ってませんでしたか?」

「強盗に襲われて為す術もない僕と、格好良く打ち倒すベント君以外は何にも。」

「・・・そうです、か。」

コンビニ強盗に合ったのもショックだが、あれは何もかも夢だったんだろうか。
仮眠とっても、俺はまだ眠いままだったのだろうか。

「じゃあ、今日はもう上がっちゃっていいよ・・・って、もう朝だけどね。」

「はい、じゃあ帰って休ませてもらいます。」

「ああ、そうだ、給料。ちゃんと振り込んどくからね。今日の分、ちょっと上乗せしてあげよう。」

「ありがとうございます!」

手早く、制服と上着を着替えて、外に出る。
今日の給料はちょっと増しらしい。金を下ろしたら松花さん所にでも行ってみようか。
新しい目覚まし時計も買うんだった。
浮かれ気分で、足に、レッグポーチを装着。
・・・? 何だろう、いつもより若干だけど重さがある気がした。


物凄い嫌な予感がよぎった。



事件が一つ終わったんじゃなくて、
寧ろこれから始まるんじゃないかっていうざわつきが消えない。

恐る恐る、ポーチを開けると、


「よぉ。」


夢なんかじゃ無かったんだ。
俺はやっぱり、こいつに頼って強盗を倒したんだ。


俺だけに聞こえる声で喋る、奇抜な仮面 がそこに納まっていた。


「何だよ、辛気臭ぇ顔しやがって。」

「な、何でだよ・・っ?!」

「何でじゃねぇよ。やっと当たりを引いたんだ。逃す訳ぁ無ぇだろ?」


こっちこそ、訳が分からない。
こんな奴に目をつけられるようなもんなんて俺にあっただろうか?
まあでも、こいつのおかげで助かったとも言える。

「一応、お礼は言っとくぜ。」

「ん? ああ?」


俺の取り柄は、細かい事は気にしない事だ。
変な拾いものをしたぐらいに思っておくとしよう。


「とりあえず、帰って寝るか!」


月面荘に戻ったらゆっくり考えよう。
良い事と悪い事、そしてヘンテコな事 いっぺんに起きた変な日だった。
ああ、明日はもっと楽な一日がいいなあ。

フラグ2の1

フラグ2の2

Posted at 18:30 | カノピコ | COM(2) | TB(0) |
2011.12.13

フラグベント 第一話

Frag"B"ent ー フラグベント ー

第一話 「フリーター、親切を知る。」


「な・・・何て事だ・・」

何処にでもありそうな大型スーパーの
入口から入ってすぐ右手の奥のATMコーナー。
店の一番隅に位置するこの区画で、
何やら、呆然としている人物が一人。

「あ・・明日までどうすりゃ・・」

ショックのあまりか、言葉に出していないと平静を保てないらしい。
列には、4人程並んでおり、動こうとしないそいつに少しイライラし始めていた。
先頭に並んでいるパーマネント頭で如何にも〝オバサン〟と言った感じの女性が堪らず声を掛ける。

「ちょっと、兄ちゃん。後ろつかえてるんだから早くしてよ」

「あ、はい。す、すみません・・」

ふらふらっと、そいつがATMからどいて、列の方へ歩き出した。


年齢は、二十代か。
まだまだ若者と言った年格好。
しかし、このぼんやりとした眠そうな顔。表情と合っているのか目の色も若干薄い。
顎には無精ひげ。
ファッションでは無く、切るのが面倒で好き放題に伸びてそうな今時染めてもいない黒の長髪。
今すぐ「そこに立ってじっとしていろ!」と怒鳴って切り去りたい前髪。
衣料量販店の安売りで買ってそうな、とりあえず着られればと言うような格好。

それに、オバさんがATM来るようなこの真昼間にこんな所にいると言う事実。


列に並んでる人間の視線が何となくそいつに向いていた。
いい若いのがねぇ・・
就職難って言ったって・・
気の毒がるのか、社会に対する愚痴なのか、叱責なのか。

あんまり、聞いていて気持ちのいいものじゃない言葉をそいつは背中で受け止めながら、スーパーを出て行くのであった。


「スーパー行ったら余計にお腹空いて来たなあ」

時刻はもうすぐ正午。
商店街を歩くと、飲食店からランチタイムの良い匂いが漂ってくる。
腹ペコ金無しの若者には何とも堪える状況である。

「う・・何とか通り過ぎないと」

顔をしかめながら、商店街の切れ目まで何とか歩いて行く。
確か、そこまで行けば公園があったはずだ。
丁度良い。一休みして行こうじゃないか。

そうして何とか公園まで辿り着く。
奥の方、人影が無くなる場所まで。
ベンチにどっこらと腰掛けた。
レッグポーチから財布を取り出し、手の平向けて逆さに振る。

チャリチャリン

軽快な音と共に、銅色と銀色の硬貨が躍り出た。
同時に溜息も口から洩れる。

「120円・・・」

硬貨って喰えねぇよなあなどと考えていると、
次は腹の虫が良い音を奏でる。

「・・明日までぐらい保つかと思ってたんだけど」

上体がグラリと揺れる。

「やっぱ・・無理かあー」

更に姿勢が崩れる。

「ふらふら するなあ」

視界がぼやけてどんどん地面に近付いて行き、真っ暗になる。
その途中、向こうに見える公園の入り口に微かに人の影が見えた気がした。





・・・・

・・ちょっと・・

あの・・・

「あの! 大丈夫ですか?!」


気付くと、ベンチに座った姿勢に戻っており、肩をかなりの勢いで揺さぶられていた。
頭がぐわんぐわん する。

「ほへ?」

「あ、気が付いた!」

揺さぶってくれたその誰かを見ると、今まで会った事も無い人だった。

「びっくりしたんですよ。
お昼ご飯、ここで食べようかと思ったら、先客さんがいたみたいで。
でも、その人、ベンチの前で土下座みたいな格好して全然動かないんですもの。」

「え?あ、どうも、すみません・・」

おっとりとした感じの美人であった。
赤いカチューシャに、少し癖のあるショートボブ。
淡い茶色がふわりと揺れ、何だか良い香り。

「今日は天気が良いですけど、こんな所で寝てちゃ駄目ですよ」

「あ、寝てたって言うかその・・」

ぐきゅるるうー

「もしかして、お腹空いて倒れちゃったんですか?」

そう言うと、彼女は隣に腰掛け、持ってた布包みをほどいた。

「私が作ったものなんですけど、お分けしましょうか?」

「いや、そんな申し訳あr」

ぐううー

「・・・お言葉に甘えてしまってもよろしいですか・・?」

情けないやら、恥ずかしいやら美人で嬉しいやらで真っ赤な顔で男は答えたのだった。

さて、腰掛けて布包みを開いたと表現しましたが、
そこから、出てきたのは、かなり大きい箱・・・三段重箱であった。

「・・あの、他に誰かご一緒する予定だったとか・・?」

「違いますよ。ちょっと食べる量が多いんです。お恥ずかしい話なんですけど。」

「へ、へええ」

そうして、蓋が開けられる。

一段目は、金平ごぼう、ホウレン草のおひたし、出し巻き卵 など和おかずの定番。
二段目は、チーズが乗ってるミニハンバーグ、フライドなポテト、バジルソースが絡んだパスタなど洋おかず。

三段目は、ご飯の部。鳥そぼろと、いり卵が綺麗に境界上で別れてる。

昨今のキャラ弁やら凝った飾り切なんてものは無いけれど、お約束は揃っているそんなお弁当だった。

「はい、お箸。」

「い、いただいただきます!」

効果音を付けるとするなら、ガツガツとかガフガフとかそんなところか。

「ふふ。そんなに良い食べっぷりだと、作った甲斐があるってものです。」

もぐもぐもぐもぐ、ごくん。

「とっても旨いっす!え、えっと・・」

「あ。そういえば名前をまだ言ってませんでしたね。
私、飯田 松花(イイダ ショウカ)って言います。」

松花さんか。素敵なお名前です。

「え、えっと俺は・・」

咄嗟に辺りを見まわす。
公園に設置されてる金網で出来たゴミ箱が視界に入った。
紙屑、空き缶、コンビニの弁当の容器が見える。
白いシールのバーコード部分の上に ●ノ内スペシャル・・と描いてある。

「ベントです。ま、幕ノ内 弁斗って言います。」

「幕ノ内 ベントさんですか。何だか、お弁当が好きそうなお名前ですね。」

そう言って、ふわりとした笑顔を返してくれる。
イイ人もいるもんだなあ。世の中まだまだ捨てたもんじゃない。

「す、すみません!大分食べてしまいました・・。」

うああ、俺とした事が・・!半分ぐらい平らげてしまっていた。

「いえいえ。気に入って戴けたみたいで嬉しいですよ。
でも、倒れる程、お腹が空くなんて何か事情があったんでしょう?」

「明日・・・給料日なんです。貯金も底着いちゃって。それこそ、お恥ずかしい話って奴なんでしょうけど・・」

頭を掻きながら答えるベント。お恥ずかしいって言うか情けない話である。

「あらら。じゃあ、今度の給料日まではもう倒れないで下さいよ?」

「はい。肝に銘じておきます!」

「そういえば、誰か頼れるような方はいなかったんですか?」

「えっと、俺、最近この辺来たばかりで知り合いもほとんどいなくって。」

「そうだったんですか。ここにはいつも来てますけど、見た事無い人だなって思ってたんですよ。
あ、でもこれで一人、知り合いが出来ましたね!」

こんな美人な知り合いが出来るなんて大歓迎です。
今日の金運は最悪だが、素敵な出会いとやらはばっちりだったぜ、今日の占いめ、ザマーミロ!

「さて、昼休憩もそろそろ終わりますので、この辺で失礼させて頂きますね。」

「あの、本当に有難うございました。このお礼はいつか必ず!」

ペコリと頭を下げる。
いやー、本当に助かりました。

「別にいいんですよ、これくらい。
あ、でも、それならお客さんで来てくれたら嬉しいかな。」

松花さん、お店やってるんですか?

「ここの公園でて、左に曲がって二つ目の信号の所。
飯田珈琲店 ってお店。父親と二人で営業してるんです。」

「給料入ったら是非とも、伺わせて頂きます!」

「ふふ。いつもお昼は一人だったんですけど、今日は楽しかったです。それじゃあ、また。」


その後ろ姿が見えなくなるまで、呆けて手を振っていた。
松花さんかあ・・。
こんな俺にも優しく声掛けてくれる人がいるんだなあ。
知り合い・・。

「昔は、それでも何人かいたのかなあ、知り合い。全っ然、憶えてねぇけど。」

自嘲気味に、一人ごちる。

「幕ノ内かあ。咄嗟に苗字作っちまったけど、これからこれで行くのかあ。
変じゃないかなあ、大丈夫かなあ。」

本人はよくわかっていないようだが、下の名前と合わせて完全にキラキラネームである。
これからフルネームを提示する度に、相手に確認されまくる事だろう。

「とりあえず、深夜シフトの為に寝ておこうか。ねぐらに帰ろう。」

ようやく立ち上がり、家路を目指して歩き出した。



歩く事、30分程。
元は、白塗りの壁も今は薄汚れ、ひび割れまくり。
築何十年か知れないが、大分くたびれが来ている。
木製の看板は、黒ずみ、文字の色と同化しかかっていて
かろうじて、「月面荘」 と読める。

そこが、この幕ノ内ベントの住んでるボロアパートである。
上り階段はギィギィ悲鳴をあげるし、雨の日は、通路の一部から雫が垂れる。
他に住人が住んでるのかは杳として知れない。
まだ誰ともすれ違った事も無いし、部屋にいても恐ろしく静かなのである。

自分の部屋、201号室のドアを開ける。
こちらもギイィーとちっとも有り難く無い音がする。

6畳一間。 テレビと冷蔵庫。玄関横に水道、反対側に手洗い。
部屋の真ん中には大きくも小さくも無い、コタツ台。
必要最低限しか無い空間。

そう。ベントの最初の記憶はここから始まったのだった。


貯金がまだまだあった頃、数ヶ月前だ。

気が付いたら、この部屋の畳に寝っ転がっていたのである。

「・・・何処だここ。」

起きたはいいが、何だか体を動かすのに慣れず無茶苦茶だるい。
見渡すと、コタツ台の上に何か乗ってる。
何の面白味も無い茶封筒と、カードと通帳。

封筒の中身も素っ気ない文面で

「ベント(略) 氏 
 

コレカラは 弁斗 とナノルべし。
モウシワケテイドの カネを ノコス。
コレカラサキハ ジブンノ テデ。
ナニも カンガエルヒツヨウ はナイ。
シンキイッテン ガンバリタマエ。」


「・・・まっったく、わかんねぇ! あと、すんごいだるいなあ。」

そっから、一か月ぐらいはだらだらと過ごした。
お金はどんどこ減って行くものとやっと気付き、バイトを始めたのが、その次の月。
食べる、着る、娯楽 何につけてもお金が無いと始まらなかった。

時々、頭を捻って色々思い出してみようと試みるも、

「・・・何にも浮かばぬ。」

こっからがスタート地点で、以前には何も無かったと言わんばかりに思い出せない。
と言う訳で、貯金が無くなる頃にはすっかりそんな事も諦めてしまっていた。

世間的にはイイ年齢したただのフリーターにしか見られない。

「俺、どうしてここにいて 何をすればいいのかなあ」

生きる目標が無いとか深刻な事態であるが、
そこは持ち前の能天気さでカバーされ、
今日も何となく生活しているのが、この ベントと呼ばれてる男なのであった。

フラグ1の1
フラグ1の2

Posted at 18:28 | カノピコ | COM(3) | TB(0) |
2009.08.12

シルク・ド・オクトパス 開幕。

特にお知らせでも小説でも何でも無いんですが
ちょっと書きたい事が長そうなのでエントリ一個消費シチャウヨ!

マダムがね、セラニポージの曲で一話前後篇書いて下さってね。
いやね、すごく嬉しくってねぇ。CD焼いた甲斐がありましたよ。
なんだかよくわかんねぇぜと言うあなたに解説フォーユー。受け取れえええ!

セラニポージ はとある女の子の名前。
不思議な世界観の歌詞とそれを歌いきる何ともフワフワした声が特徴的な女性歌手

・・・と言う設定です。

本当はササキトモコさんとCECILのヴォーカルさんと、あとサウンドクリエイターさんが組んで作ったユニット。
ヴォーカルは代替わりしていて、次のアルバムからは別の人が歌ってるんですけどね。

「ROOMMANIA#203」(ルーマニア203)
と言うこれまた何とも奇天烈なゲームソフトに出てくる主人公「ネジ タイヘイ」
が、ゲーム内で夢中になっているアイドルを作ろうと結成されたユニットです。
しかし、何故か現実世界でもCD展開されておりまして。
しかも、CD発売の方がゲームよりも先って言うね。
このルーマニア作った人たちが元々はゲーム音楽を担当する人ばっかりだったので、
ゲーム内に対する〝音〟のこだわりが半端ないゲームが出来上がったのでした。

ゲーム内容もすげぇ個性的。
こんな作品、他に見ないよ(褒め言葉です)

主人公のネジ君は一人暮らしの本当にマジで平凡な大学生!
このままでは、やる事成すこと毎日起きることが平凡なまんま一生を終えてしまう運命にあるのです。
プレイヤーは、そんなネジ君の部屋を見守る神様。
さぁ、ネジ君の生活にちょっかいを出していっちょ劇的な人生ってやつを送らせてあげましょうよ!

って内容です。
で、ゲーム中ネジ君がよく聞いているCDがセラニポージと言う訳です。
セラニポージのアルバム内の何曲かはネジ君の心境とかなりシンクロしているので
聞いていると色々場面が思い出されて結構せつな笑える。(どっちだよ)

Octpus Daughter自体は明確なシナリオが無いんですけどね。
宇宙船はどこへ行った? の話は泣いてしまいましたよ。

歌一個一個がお話になってるんですわ。
一つ一つ世界が違うんですねぇ。
じゃぁ、タコ嬢の歌詞をここで投下致しましょう。


[Octpus Daughter] serani poji(セラニポージ)

街はずれ サーカスのテントがたったよ
あたしは世界一体中柔らかいOctopus Daughter

うしろにのけぞって足の間から顔だして
「こんにちは!」って手をふると大人たち子供たち大きな拍手

あたしにはパパが3人
ステージが終わるとパパたちにキス!キス!キス!
素敵なパパに囲まれてあたしはいつでもso happy!

空中ブランコが 得意なmuscleパパ
ライオンにかまれた傷が自慢 胸毛のパパ
悲しい顔してジェスチャーで語る ピエロもパパ
ミートパイやポテトを食べながら楽しいおしゃべり

街はずれ サーカスのテントがたったよ
あたしは世界一体中柔らかいOctopus Daughter

あたしにはママが3人
ステージが終わるとママたちにキス!キス!キス!
素敵なママに囲まれて あたしはいつでもso happy!

綱渡りしながら 一輪車こげるママ
むちをならして像に乗る かっこいいママ
大きなお尻でピエロパパけとばす 愉快なママ
コーヒーやレモン水を飲みながら楽しいおしゃべり

パパとママとサーカス見にきた男のコは
3人ともそっくりで
パパとママもたくさんいるのに
あたしは誰にも似ていないのね、って思った・・・

きらきらの洋服ときらきらのお化粧した
あたしたちのfamilyは 輝いているはずよ
どの家族よりも・・・ 

Octpus Daughter・・・Octpus Happy・・・


原曲は実はかなりスローテンポ。
リミックスバージョンでは歌詞も省略されてるしテンポも早いし曲調も明るめになってます。
どっちも好きなんですがね。

マダムー、ありがとよー!
オリジナルキャラの団長も違和感無く溶け込んでいたと思いますし、
3人のパパとママも個性立ってましてイメージ通りでございましたよ。
文章も何だかキレイですなぁ。うらやましや。
Posted at 09:42 | カノピコ | COM(1) | TB(0) |
2008.06.04

妄想日記 祭りの夕べ その①

デュデュダダデュッダッ♪
デュデュダダデュッダッ♪

ジャーンジャーン ジャーン


・・・確かににぎやかな曲ではあるが、
読書にはいささか向いていない曲であるなぁ・・やっぱり。

そうそう。
曲のタイトルがやっと判明したのだよ!
松下さん(メイド)が見つけてくれたのだよ!
確かー・・


ガッチャッ!! 


「おーい!こち・・」

「その名前で呼ぶなあっ! あと、ノックしろよ!」

「お姉様にそんな口の利き方ぁ~?」

「ぐええっ!ギブギブ! 落ちる!落ちるよ!!」

「とまぁ、そんな事は置いといてだね。」

「・・ぐぇっほっ・・ごほっ・・・一体全体、何用でございましょうか?」

「・・その態度の変わり用は何なのよ・・。まぁ、いいわ。
 今日の夕方、お祭りあるんでしょう? そんでさ、その一緒に・・行かない?」

「え゛ええええーっっ!!」

「そんな引かなくてもいいじゃないのっ!!」

「だって、姉さん、どうせ相手でもいんのかと思ってたしっ!!」

「いない事も無いけどね・・。たまには姉弟水入らず・・みたいな?」

「どういう風の吹きッさらしいっ!?」

「それを言うなら吹き回しでしょ、馬鹿千代!」

「・・・んーじゃ、シェリーも一緒ならいいけどさ。」

「全然構わないわよ。 んじゃ、出かける前に声をかけてね♪」


・・・バタン。


そんなこんなで、何年振りかで帰ってきた姉と祭りに行く事になった。
・・って、最後のセリフ、何のRPGだよ・・。



私から貴方へと♪ 貴方から他の誰かへ♪

巡り巡る言葉は・・・・


で、読書して眠くなって昼寝して、


夕方になったわけですが。


「・・姉さん、遅い・・」

「わふふん」


「お待たせーっ! ごめんねv」

遅いじゃねえかよ姉さん自分から言い出してそりゃ無いよ みたいな事を
言おうとしたんだけど、


「何よ?」

「何でも無いんです。」


・・何て言うか、すごくキレイだったんです。
お祭りなら浴衣でしょってんで、和装なんだけど・・なんだけどさ。


「じゃ、行きますか。」

「うん。」

「わほほい」


祭り会場 着。


「すごい人ね~」

「ですね。流石に夜ともなると。」

「はぐれないでよ~??」

「ば・・子供じゃないんだからさ!」

「わふふふ(ニヤニヤ)」


そうして、昼間も食べたチョコバナナを自分も食べてみたり、
姉さんは、ブバケルネドとか言う屋台で、食べ物を買って食べていた。
玉ンポンピとか言うところにも言って何だか袋にカラフルなものを詰めてもらったり、いべんせきがくら ってとこで、甘いエビせんを買った。
いっぱい塗ったら砂糖がつくだろうと思ってたっぷり塗ったら、
「ベタ塗りは追加料金」とか言われて、余計に小銭を取られてしまった・・。

「あ。アレは何だろう?」

いくす魚金? 水の中を何やら小さい鯉みたいのがユラユラ泳いでいる。
客は何やらそれをとんでもなく破れやすい欠陥品の網で悔しそうにすくっている。


「金魚すくいよ。って、アンタもしかして屋台の字読めてなかったの??」

「そ、そんなバカな事あるはずないだろう!?」

「何か買う度に不思議そうな顔してたからさては図星ね。」

「も、もう知らん!」

「あ、ちょっと・・こち・・わっ・・」


丁度良いタイミングで人混みが押し寄せてきた。

コレに乗じてシェリーとデートしてやるんだ!
一人でも楽しめるに違いない!

んじゃ、金魚すくみ でもやるかね♪


・・・何じゃコリャ。思ったとおりすぐに破れよる・・。

「おじさん、もう一本!」

・・あれ?何だか酒でも飲んでるようなセリフだ。




「もう・・何よ、湖著慕の奴・・。せっかくさ、夜のでっかいイベント、一緒に見に行きたかったのに。 親父の事、わかってもらいたかったのになぁ。
あれ? ここ、何処まで来たのかしら?? 久し振りだもんでわかんないや。」


「おv 綺麗な姉ちゃん、発見~♪」


「はー。こりゃべっぴんだぜぇ。」


「うげぇっ! 案の定、人通り少ないし、ココ・・。どうしよ・・ってアイツ、ケータイも持ってなかったっけ(涙)」




「おじさん、もう一本追加だ!」

「お客さん、もう無理だと思うよ・・?」

「わふふふー(ヤレヤレ)」
Posted at 01:07 | カノピコ | COM(4) | TB(0) |
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