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2012.10.05

マジラバ番外編:天魔連魔導士養成学校祭、『てんたま』

10月に入り大学祭まで一ヶ月切ったので。10/20、作中キャラの速水ホノカ・長谷川まゆりを改名。



鈴音が朝、屋敷の外に出ると。
「ギャーッ!」
こめかみすれすれに銀色の矢が勢いよく飛んできて、びんっとシャフトを震わせながら扉に刺さった。はらり、茶色の毛先が数本舞い散る。
何?またアイツの刺客?
そう思って辺りを見回すが、もう何物も襲っては来なかった。代わりに鈴音は、矢のシャフトに細く折り畳んだ紙が結わい付けられているのを見つけた。ほどいて広げてみると。

「天魔連魔導士養成学校祭『てんたま』へのご招待?」

鈴音は竜星の前で手紙を読み上げる。
「…ミスコンテスト(秋でも水着!)、女装コンテスト、演劇、バンド、各種模擬店など面白企画が満載!選りすぐりの魔力を持つ学生たちのショーは他校とは一風違います。…竜星、行く?」
竜星は面倒そうに欠伸した。
「行かねえよ。どーせ学生内輪だけで楽しんでるよーなものだし。」
「でっ、でも、偉い人とか来るんじゃない?人脈作るチャンスとか。」
鈴音が竜星が食い付きそうなワードを必死にかき集めて指摘する。しかし竜星はやはり、ノらない顔だ。
「その偉い人はてんたま嫌がってんだよ。金と時間の無駄だってな。」
「…可愛い後輩たちの元気な顔が見られるチャンス…」
「一級魔導士の俺に可愛い後輩たちなんぞいねえよ、いるのは虎視眈々と俺の地位を狙うハイエナどもだけだ。美人で実力が低いお偉いさんの娘とかならまあ可愛いと言えるかもしれないがな。」
「…」
竜星はあくまでも無関心を決め込み、すました顔でコーヒーを啜る。

この出世欲の亡者め。

竜星がそんななので、鈴音は黙って天魔連に遊びにいくことに決める。一応護衛としてホーリーナイトを連れて。ホウキ、トワイライト・エクスプレス号に乗ってひとっとび。

首吊り死体がちらほら潜む、暗い森を抜ければもう聞こえてくる学生たちの賑やかな声。
「わー、すごーい…」
目の前に広がるのは、あの白い町全てが花や風船で飾られ、昼間だというのに大人や子供、魔法使いや妖魔や人間やらでごった返している光景だった。喫茶店、薬屋、宿屋(ホテル)。どの店も総出で学生をサポートし、祭を盛り上げようとしているのが伝わってきた。…天魔連のことだから、いざ儲けるチャンスとしか思っていないかもしれないが。
「女の子必見イモリの黒焼き入り香水だよー!!」
薬屋が高らかに宣伝するのを聞きながら鈴音は用心する。
「鈴音、気を付けろよ祭だから余計に浮かれてからかってくる奴らとか絶対いるんだから」
ホーリーがタイミングよく、真っ赤な目をぎらんと光らせて鈴音に警告する。
「お嬢ちゃんひとりぃ~?」
「ボクと契約して魔法少女にならない~?」
鈴音は白い着ぐるみを着たどうやら酔っている少年たちを押し退けながらホーリーに答えた。
「すごくわかってるわ。大丈夫。」

「午後2時から天魔連の中央広場にてミスコンテストを開催!てんたま一の美少女は誰だ!飛び入り参加あり!」
「なんの、同じく午後2時から天魔連講堂にて演劇『フリーターとウェイトレス』を上映!」
「キサマっ、邪魔するな!」
「何をーっ?!」
何やら喧嘩しながら街を練り歩く学生たちを見ながら、鈴音はホーリーに聞いた。
「ねえ、どっちを見に行く?私は演劇気になるな…」
「オレは絶対ミスコン!!」
ホーリーは今度は目を輝かせて言う。
「あっそ、あんたも所詮男の子ね…」
鈴音は呆れながらもホーリーの要望を叶えることにした。

「れっでぃーすあーんじぇんとるまーん、てんたまミスコンテストにようこそ!」
ステージの上で煌めく紫の背広に赤い地に白の水玉模様の大きな蝶ネクタイをした少年がマイクが悲鳴を挙げるくらいの大声で叫ぶ。
「さっそくてんたま選りすぐりの美少女にご登場願いましょう、一番、五年魔法戦闘科、速水ミズキちゃん!」
ボーイッシュなベリーショートの髪にそぐわず、素晴らしいプロポーションの少女がピースをしながらステージの真ん中に現れる。観客の男性陣からは歓声が上がった。
「戦闘科特有の引き締まったボディにシンプルなビキニがベストマッチ!ミズキちゃん、コメントを一言」
「優勝したら約束通りおごってよー。」
歓声席から爆笑が挙がる。司会は決まり悪そうに咳払いした。
「えー、ごほん…二番、奈良井コノカ!」
ホノカがステージの隅に引っ込んで、主役は二人めの少女に移る。
…移るはずなのだが、一向にまゆりは現れない。
「奈良井コノカ!!六年魔法薬品研究科の奈良井コノカさーん!…あのバカ、すっぽかすつもりだな」
業を煮やした司会は杖を取りだし、ステージ中央に向けて振る。
すると、ポンと軽い音がして、ステージにジャージにぼさぼさ頭の少女が現れる。手には何も持ってないが、どうやらゲームをしていた最中だったらしい。何やら指をピコピコ動かしている。
「このっ…あとちょっとでクリアなんだけどなあ…」
途中で背景が変わったことに気付いて、少女は手を止めた。キョロキョロと辺りを見回す。司会はため息をつき、少女を紹介する。
「魔法薬品研究科六年、奈良井コノカ。一級魔導士確実の実力を持ちながら卒業年度になっても三級に甘んじる美しき変わり者。」
「その紹介止めろ!」
コノカが怒って立ち上がる。
「好きで三級なんだからほっといてちょうだい。それよりも何よこんなとこに連れてきて!せっかく良いところまでいったのにこれじゃ台無しだよ!」
どうやらコノカは勝手に推薦されたクチだったらしい。しかし司会はそんなことお構い無しに言い返す。
「祭盛り上げるのは学生の義務でっせ。腐っても美人が部屋にこもってゲームなんて勿体ないぜ。」
司会は再び杖を振る。コノカのよれよれジャージはたちまち真夏の浜辺に映えそうな、空色に赤いハイビスカスの派手なビキニとパレオに変わる。右足首にはご丁寧にもシルバーのアンクレット。皮肉なことに観客席からの歓声はミズキの時より一回り大きく聞こえた。
「すげえ!生着替えだよコレ!」
司会は右手を挙げて歓声に応えてから、コノカの方に向き直る。
「これで少しはマシになった。そんじゃコノカさん、一言」
「わーんこんな格好させられたんじゃ嫁に行けないじゃんかーっ!」
コノカはそう叫んでステージから逃走した。

そんなこんなで時間は進み、女装コンテストに移る。
「いやー、はっちゃけてて面白いわね。」
鈴音は満足そうに見ていた。ホーリーも楽しそうだった。
「綺麗な人が多かったしな!…今のジョコンは…ゲロゲロだけど…」
ちょうど筋骨隆々な身体の学生が、ショッキングピンクの小さなビキニのみを着けて、嫌がる司会に頬擦りしているところだった。
「そう?ああいうの嫌いじゃないよ。」
鈴音が朗らかに言う。

だって、天魔連がピリピリしてるだけの場所じゃないって、わかったからね。

「お前ら…こんなとこで何やってやがる…」
鈴音の頭をぐわしと掴む手。振り向くと、そこには竜星がいた。
「ま、祭には来ないんじゃ…」
「修行サボって何油売ってんだっ!さっさと帰るぞバカども…」
「あっ、神崎竜星だ!!」
「神崎竜星が来てるぞ!」
ざわめく観客たち。司会は叫ぶ、
「過去の恨みを晴らすチャンス、一同掛かれ!ステージに上げろ!!」
「なっ、ちょ…何しやがる!」
竜星は少年、少女、オカマたちに囲まれ、三十秒ほど見えなくなった。人垣が引いたあと、竜星は華やかな花魁の格好をさせられステージに立っていた。
「もうちょい面白くしたかったのに」
「女どもが綺麗に持っていきたがるから」
「神崎様女装してもやっぱり素敵!」
少年も少女も思い思いのことをいう。
竜星は怒りに震えていた。
「てめーら、許さん!!」
竜星は魔法で長く伸ばして結われた髪を振り乱し、長い袂を捲り上げて杖を何回も振る。金だらいが無差別に降注ぐ。観客はキャーキャー笑って逃げ惑う。

その様子を、鈴音は笑ってみていた。

何だ。普通に先輩してるじゃない。
怖がられるのも疎まれるのも慣れっこだって?そういう目でみるひともいるかもしれないけど、みんなあんたのこと、結構好きじゃない。

結局鈴音とホーリーは、竜星と一緒に天魔連を回る。

『魔法薬品研究科』
ナツメ「お久しぶり鈴音ちゃん!神崎帰れ。」
鈴音「その光る液体何?」
ナツメ「コノカねえさん…奈良井先輩って人が開発した超即効性傷薬だよ。見てて…」
ナツメ、ナイフで軽く左手人差し指の付け根を切り、薬を刷毛で塗る。傷が跡形もなく消える。
鈴音「すごーい!」
ナツメ「ただ材料費がかかるのが問題さ。この100ミリリットル小瓶でなんと三万円。でもこっそりプレゼントしちゃう!」
鈴音「ありがとうナツメくん!竜星大切に使うのよ」
ナツメ「わーお切なーい」

『魔法動植物研究科』
鈴音「やだやだやだ何このツル植物っ!巻き付いてくる!」
不気味な学生「フフフお嬢サン、それはチスイマンドラゴラと言って若き乙女の血を好む食人植物さ。増血作用があるが良質なものを作るには大量の血が必要…」
竜星がナイフを造り出してツルをちょんぎり、鈴音の口に入れる。
竜星「増血すんだってよ、『返して』もらえ」
学生「わーん大事なツルがあああっ!!!」

『魔法歴史研究科』
竜星「そこはやめとけ、『偏って』るから」

『翔球部親善試合:チーム夜桜(天魔連)VS月烏(他校)』
実況「…『夜桜』の葛城、見事ゴールを守りました。一方月烏の藤沢が金色球を見つけたようです…」
鈴音「…ねえ、翔球って、いわゆるクィディッ…」
竜星「言うな!俺たちの神様が黒服のコワイ人たちに連れてかれても良いのか!?」

そんなこんなで、祭りを満喫した竜星、鈴音、ホーリー。
帰り道、ホーリーがりんご飴を舐めながら言った。
「楽しかったな!」
鈴音はそのりんご飴の棒を持ってやりながら笑う。
「(猫は甘味受容体が無いって聞いたけど…)ホントにね。素敵な日曜日だった。」
「オレがいない方が楽しかったんじゃないの~?」
「何でよー、ホーリーが居たから無事に帰れるようなもんだし」
「あ、冷やかしの華麗なスルー。」
「ははは」
そんな会話の間にも竜星は黙って歩いている。鈴音は竜星の横に並ぶ。
「…何だよ。」
鈴音は竜星に笑いかける。
「楽しかったみたいじゃん。」
竜星はぷいっとそっぽを向いてしまう。
「どこが。また女装させられるわお前らのお守りさせられるわ散々な日曜日だったよ。」
鈴音はそれでもすましていた。
「でも、意外とあんた好かれてるじゃない。あんたの母校が辛くてピリピリしてるだけのところじゃなくて良かったよ。」
「祭りじゃどんなやつでも多少陽気になるだろ。」
竜星は何とも思わない振りをして、素っ気なく言う。鈴音も竜星の何故か僅かに赤い頬を見ない振りをして、あと一言だけ言った。
「ウチのお師匠様が孤独じゃなくて良かった」

「あ、ホウキ乗ってく?一緒に回ってくれたお礼」
「当然だ」



‘Ryusei’s Holiday’ is over.



ホウキゲットのエピソード、どうしようかな…因みに時系列はまだ書いてない11話以降のどっか。
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Posted at 20:27 | マダム沌夕 | COM(2) | TB(0) |
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