--.--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2014.04.03

マジラバ12話 ロリコンエレコンプロのプライド 中編

「はぁー、やっと撮影終わったよ…」
夜の11時過ぎ。深夜とも呼べるこの時間までコマネズミのごとく走り回されていたカメラマンが、精も魂も尽き果てたという様子で呟いた。
「ほとんどビョーキだよなあのオバハン…」
重い三脚などの機材を肩に担ぎ上げた仲間が、これまた憔悴しきった様子で相槌をうつ。
「てゆーかさ、何であの人が仕切ってるわけ?ウルドちゃんがいくら凄い子役でも、あの人はただのマネージャーなんでしょ?監督も『文句言うなら主役下ろす』くらい言えばいいのに」
最初のカメラマンが文句たらたら、と言った調子でいうのに、機材を担いだ方の男が冷静に返した。
「おめー監督だとしてそのセリフ言えるか?みんなウルドちゃんが欲しくて物凄い競争率ん中やっと勝ち取ったってーのに。視聴者はみーんなウルドちゃんが観たくてテレビを着ける時代だってのに。」
「う…」
カメラマンは、自分が監督の立場だったと想像したら、何も言えなくなってしまった。しかし、彼の友人は思慮深く続けた。
「でもよ、納得はいかねえよな…」
「なあ…」

一方、ウルド護衛隊もまた、映画とは何ら関係もないのにこの時間まで連れ回され、カッサカサの抜け殻状態で真っ暗な廊下を歩いていた。
「ホーリー、私はもう疲れたよ…」
鈴音が古いアニメの主人公の、貧しい画家の少年を真似して呟いた。
「冗談言えるだけ鈴音はまだ大丈夫だよ…」
ホーリーが鈴音の肩の上で、洗い古してよれよれになったぬいぐるみのようにだらんと腹ばいになって垂れ下がり、ツッコんだ。
「こんな時間まで付き合わされて、お肌荒れるっての…」
「塗るか?『保湿クリームプラシーボ』ロリ監督がくれたぜ」
ぼやく鈴音に竜星は、どうやらスポンサーの不二里薬品がくれたらしい新作保湿クリームを差し出す。鈴音はクリームの小さなビンをちらりと一瞥しただけで、すぐに目線を床に戻してしまった。

「プラシーボに騙されてくれるほど私のお肌はピュアじゃない…」
「おめーら意外と元気だな」
竜星と鈴音のやり取りを聞いていたホーリーがついついツッコミを入れる。
「で、今からどーすんの?帰る?」
「何を当たり前なこと訊いてんだ、帰るに決まってんだ…ろ…」
竜星の言葉は尻すぼみになって途中で消えてしまった。目の前に立ちはだかる、背の高い女の影。三人の前に突如として現れたのは、ウルドの母親、百瀬真知子だった。
「な、なんのご用でしょうこんな時間に…」
「今日もあんな派手な襲撃がありましたね?でもアナタは捕まえられなかった。一級魔導士ならなんとかしてくれると、思ったからアナタを雇ったのに…」
百瀬は傲慢に言った。
「すみませんすみません」
鈴音がすっかり恐縮しきってペコペコと平謝りに頭を下げる。
しかし、竜星の方は何も言わずに百瀬の冷酷な眼差しを正面から受け止めていた。百瀬は竜星が何もいわないのを良いことに、偉そうな気取った口調で言い放った。
「まだ近くにいるはずよ。ちゃんと捕まえて私とウルドの前に引きずり出してくれるまで、帰ることはまかりなりません!ホテル、ウルドと一緒の部屋を取ってあります。時間を取った分の代金は払うわ、文句は無いはずよ」
「ええー…」
竜星と鈴音とホーリーは、揃ってでかいため息を付いた。

未成年こんなに働かして、まだ飽き足らないのか。児童福祉法はどこに行った。

しかし、百瀬は鈴音とホーリーを鬱陶しそうに一瞥すると、ハエでも追い払うかのように手を振った。
「ああ、女の子と猫又くんは帰って構わないわ。居られてもお金が嵩むだけだし」

思いがけない百瀬の言葉に、鈴音とホーリーの疲れきった顔に満面の笑みが広がる。
「やったーっ!!てなことで、おやすみ竜星!」
この際、ハエでもゴキブリ扱いでも構わない。お家に帰れて一人になれて、ぽちゃぽちゃお風呂にあったかい布団で眠れるなら。
「え?!うわーんバカ、見捨てるなーっ!!」
一人取り残されると知った竜星が、全力で抗議する。
「依頼人が要らないと云うなら仕方ない、オレたちは黙って従うだけさ。オレも心は痛むんだヨ。」
ホーリーが胡散臭いほど満面の笑みを浮かべ、牙をきらりーんと輝かせながら言った。
「いや全然辛そうな顔してねーぞ?寧ろ疲れも飛んですっきりした顔だ、鏡みてみろよ」
「仕方ないじゃない、私たちこんなに無力なんだから。あんたに比べたら私の戦力なんて鼻くそ以下だし」
鈴音も普段竜星に言われていることをここぞとばかりに流用し、ニッコリ笑って裏切りの刃を突き付けた。
「自分をそんなに卑下するのは良くないことだと思うんだぜ!最近のお前はめきめき力付けて弟子から右腕に昇格しようかと思ってるくらいだしっ!!」
竜星が慌てて取り繕おうとするが、鈴音はゆっくりと首を横に振った。
「ありがとう、でも気持ちだけ受け取って後は返すわ。じゃっ、おやすみ~。」
鈴音は箒を手の中に出現させると、素早く跨がって颯爽と飛び去ってしまった。

「…ホテルに案内するわ。付いてらっしゃい。」
今までのやり取りを何も言わずに見守っていた百瀬が、三人の話し合いが解決?したのを見計らって竜星に声をかけた。
「はい…」
竜星には、従うしか道は残されていなかった。

竜星が部屋に入った時、ウルドは既にきれいな寝息を立てて静かに眠っていた。一日中演技をし続けて、この喧しい少女も流石に疲れたのだろう。ウルドの寝ているベッドの直ぐ近くに竜星が座っても、目を覚ます気配はなかった。

この分じゃ夢も見ないで眠っているな。

早く仕事を済ませて帰りたい。さっさと『犯人』がボロを出してくれたらいい。

竜星は思う。

ウルドがこんなに無防備に眠っていて、しばらく自分もあの母親も、席を外していた。襲うならそれが絶好のチャンスであった筈。にも関わらず何事も起こらなかったということは…

昼にカメラが割れたのを見て以来、抱いていた疑念が確信に近づいていく。

「オマエラなんて、大っ嫌いだ」
真っ赤に血走った目、青い顔。一層際立つ黒いクマ。物凄い形相で竜星が言った。
「怒らない怒らない。お詫びに差し入れ作ってきたよ、サンドイッチとクッキー」
翌朝、早いうちに、鈴音とホーリーが竜星のもとに戻ってきた。

「朝飯くらいで償えるかっ、ウルドの奴目を覚ますなり夜這いされただなんだと騒ぎやがって。」
ぷりぷり怒りながらも、竜星は鈴音が持ってきた卵サンドをばりばり貪る。
「ウルドちゃんは?」
鈴音が訊くと、竜星は部屋に備え付けのティーバッグで淹れた紅茶で口の中のものを飲み下しながら出口近くのドアを指差した。
「風呂。覗くな覗くなって大騒ぎしながら入ったぜ。ロリ監督じゃあるまいし、興味ねえっつの」
その時、ちょうど件のウルドが、頭にタオルを巻き付けバスローブと言った出で立ちで風呂場から出てきた。
「あら、覗かなかったの。偉かったわね」
「喧しいガキ、赤飯喰って出直してこい。」
「オマケさんと猫ちゃんも。逃げたんじゃなかったのね」
いつの間にか部屋に人が増えていることに気づいたウルドは、からかうように笑う。
「私の名前は鬼塚鈴音よ。この子はホーリーナイト。名前で呼んでよね」
鈴音がちょっと厳しい口調で言うのに対し、ウルドはあの子供らしからぬ生意気そうな笑みを口の端に浮かべた。

「あれ、何か良い匂いがする」
しばらくしてウルドが気づいた。
「クッキー焼いてきたのよ、良かったらどうぞ」
鈴音が花柄の布巾で包んだ皿を指さした。ウルドは布巾をほどいて中身を見る。色々な形、色々な種類のクッキーが綺麗に積まれていた。
「ふーん…この所甘いものは一流パティシエの作るデザートしか食べてないんだけど。庶民がどんなもの食べてるのかも知らないと演技に幅がでないし、味見してあげてもよくってよ」
ウルドが腕を組んでおすまししつつ、口元からヨダレを垂らしながら言った。
「…なんで素直にくれって言えないわけ?」
呆れながらも鈴音はウルドの方に皿を押してやる。ウルドはココアとプレーンのボックスクッキーを選んでかじる。
「…美味しい…」
ウルドの顔が、年相応の子供みたいに綻んだ。
「そりゃあ良かった。」
鈴音はニヤリと笑う。

不意に、部屋のドアがまた開いた。
「ウルド、身支度はもう出来たの?今日は『明日パパとママが逆に』の撮影が…あっ!!!」
ドアを開けたのは百瀬だった。鈴音たちが何事かと訝る間もなく、百瀬はズカズカと部屋を突っ切り、怒りそのものと云った形相で鈴音たちを指差した。
「クッキー!」
「…弟子の差し入れですが、それが何か?」
竜星は冷静な口調で百瀬に聞き返す。それが余計に百瀬のカンに触ったらしい。
百瀬はバスローブが脱げそうになるくらいウルドの肩を掴んで揺さぶった。
「食べたの?」
「い、一枚だけ…」
「太るじゃない!!」
百瀬はヒステリックに叫んで鈴音を睨んだ。
「え、演技のためですからっ。ねえウルドちゃん」
鈴音は努めて笑顔で、百瀬を落ち着かせようと奮闘する。ウルドは何も言わず、黙って俯いていた。
「演技?!クッキー食べるモノマネでもやるっていうの?!いいかしら、ウルドはグルメ番組なんかにも引っ張りだこで、そんな中女優に相応しい体型を保つために私がどんなに努力しているか、わかっているの?わかってないでしょう!!大体アナタ、昨日帰るように命じたでしょう?どうしてまだここに居るのっ!」
「朝飯のデリバリーですよ、給料は頂けても食事時間については忘れてらっしゃるようなので自主的に調達したまででーす」
竜星は百瀬の方を見もせずにサンドイッチをかじりながら言った。百瀬は竜星の持っていたサンドイッチを乱暴に奪い取ってゴミ箱に棄てた。
「神崎さん、アナタがもっとしっかりしてくれればこんな不始末起こらなかったのよ!二度とこんな、勝手なことしないで頂戴。わかったわね?!!」
百瀬が怒鳴り声を上げると同時に、クッキーが皿ごと赤い炎に包まれた。
「ああ…」
めらめらと焦げ臭い臭いを振りまきながら燃えていくクッキーを、鈴音は為すすべもなく見つめていた。
「あと10分で出発よ。ウルド、そんなだらしない格好してないで早く支度なさい。」
百瀬はそれだけ事務的に言うと部屋を出て行った。
ウルドは、すっかり炭の山に変わり果ててしまったクッキーを、虚ろな目で見下ろしていた。
スポンサーサイト
Posted at 07:58 | 未分類 | COM(2) | TB(0) |
2014.02.28

マジラバ12話:エレコン・ロリコン・プロのプライド:前編

元ネタは勿論、ハリポタの妖女シスターズ(weird sisters)。

「ロケ中におかしな事が起こる?」
レンガ屋敷の、調度品などを洋風に統一した方の応接間で、竜星は依頼人に聞き返す。竜星の向かいに座り、ふわふわと長い髪を緩やかに束ねて大きなサングラスを掛けた女は頷いた。
「ええ、カメラが突然壊れたり窓が割れたり…きっと悪質なファンの仕業でしょう。昨日なんか割れた窓ガラスの破片でスタッフが大怪我をしましてね、娘の身になにかあってからでは遅いので、今日はお伺いしましたの。」

「珍しいね、天魔連の任務じゃなくて一般人から直接仕事の依頼が入るなんて」
部屋の隅で、紅茶を載せてきた盆を抱えて立っていた鈴音が、肩の上にのっている小さな黒い猫又、ホーリーナイトに耳打ちする。
「一級魔導士はクソ高いからめったにないけどな。流石げーのーじん」
ホーリーが答えた。そして、二人してゴージャスな雰囲気を漂わせながら紅茶を啜る客人を盗み見た。
「でも、誰だっけ?見たことあるようなないような…」

「娘さんと仰いますと…どなたですか?」
タイミング良く、竜星が依頼人に訊いてくれた。依頼人は少し失望したかのような顔をしたが、溜め息一つついて答えてくれた。
「ご存知かと思いましたが…私、幼女シスターズのウルドのマネージャーで、彼女の母でございます。名前は百瀬真知子」
「よ、よ、幼女シスターズううぅぅ?!」
ホーリーが驚いたように叫んだ。
「知ってるの?」
鈴音が訊いた。
「知ってるも何も、超有名だってばさ。」
 
幼女シスターズは、三年前に彗星のごとく現れたアイドルグループで、メンバーのウルド、スクルド、ベルダンディは現在、弱冠12歳、11歳、10歳。キュートなロリっ娘アイドルにそぐわぬ歌唱力と演技力がウケてその若さにしてトップアイドルの名を欲しいままにする。特にリーダーのウルドは舞台に映画にドラマにバラエティーと縦横無尽に活躍し、赤子と動物以外のどんな役でも完璧に演じられるただ一人の女優と言われている。

「そのウルドの母親だって…ま、ま、マジかよ…」
大物芸能人の縁者の突然の登場に、すっかりビビってしまったホーリーの様子に機嫌を直したらしい百瀬は、笑顔で竜星に向き直る。
「つきましては、暫くウルドの護衛をお願いしたいのです。謝礼は言い値で払いますわ。」

そんなことを言われて、つい引き受けてしまったのが昨日のこと。竜星と鈴音、ホーリーは朝から煩いチビたちと楽屋にすし詰めにされる羽目になってしまった。初めの内は日本人なら誰もが知っているトップアイドルたちを前にしてきゃいきゃいはしゃいでいたホーリーも、彼女たちのかしましいお喋りにうんざりして、いつしか相槌も打たずに黙りこくるようになっていた。
「ねえお兄さん、一級魔導士なんでしょう、何か凄い魔法やってみせてよ、部屋中銀色の薔薇だらけにするとかさあ」
銀髪をベリーショートにして、両耳に大きな星のイヤリングをつけたウルドがしつこくせがむ。
「だが断る。」
左腕に絡みついてきたウルドを振り払い、竜星は素気なく言う。
「一級魔導士っていったらあたしたちなんか叶わないくらい沢山魔力持ってるんでしょ?大して減るもんじゃなし」
茶色いふわふわした髪を縦ロールのツインテールにして、細かい星の飾りを巻き付けたベルダンディが、今度は右腕に絡みついてくる。
「やかましいガキンチョ、文句ならおめーのリーダーに言え。場合によっちゃアクション映画も真っ青な大乱闘になるんだから」
竜星はベルダンディも振り払う。ぷう、と頬を膨らませたベルダンディはソファから立ち上がり、ウルドの隣に移動した。ウルドとベルダンディはわざとらしく顔を見合わせ、竜星について好き勝手なことを言い出した。
「ちょっとくらいいーじゃんねー。あ、もしかして裏口とかで一級魔導士取ったから実は大した魔法使えないとか!」
「運良くここまで来れちゃったけど引っ込みつかなくて却って困ってるとか!!才能ない人って可哀想~」
「あのな…」
「ウルド、そういう言い方は…」
竜星が言い返す前に、ストレートボブに三日月の飾りのついたピンをつけたスクルドが窘めるように言う。
「なぁによあんた、リーダーに文句言うつもりなの?トーク出来ない癖に。」
「…」
ウルドに高圧的に罵られて、スクルドは早くも黙りこくってしまう。見かねた鈴音がやや鋭い口調でウルドを諫めた。
「ウルドちゃん、友達いじめちゃダメでしょ」
「オマケは黙ってなよ」
ウルドは鈴音の方を見もせずに、さらりと酷い台詞を吐く。
「誰がオマケだこのメスガキゃあ」
「何か…イメージと違うなあ…」
あまりにワガママでいじめっ子なウルドの素の姿に失望したらしいホーリーが、鈴音の影に隠れてこっそり呟いた。

険悪な空気が楽屋中をむしばみ始めたその時、マネージャーにして母親の百瀬が楽屋のドアを開けた。
「ウルド、出番よ。早く支度なさい」
百瀬が冷徹な声でウルドを呼ぶ。
「…はい」
鈴音は、ウルドを取り巻く空気がすうっと変化したのを感じ取った。ウルドは機械じみた様子でソファから
立ち上がり、ポケットからピンク色の可愛いコンパクトを取り出して、開いた。ぱあっと七色の光がほとばしり、ウルドを包んだと思うと次の瞬間、ウルドは金糸で飾られた黒いベールを被った、古代中東の驕慢なお姫様になっていた。

「今日はちょっと『ワイルド』に…竜星さんとオマケさんと猫ちゃん、あんたたちも来るんでしょ?」
表紙に『サロメ』と乱雑な手書き文字で書かれた脚本を持ち、透けるような薄いベールを翻してウルドは年に合わない程に蠱惑的に微笑んだ。

「お前の唇に口づけしたよ、ヨカナーン!」
ウルド扮するサロメが、血糊の滴る人形の生首を抱え、歓喜に満ち溢れた声を上げる。醜悪なほど純粋なお姫様の、まるで欲しかった玩具を手に入れて喜ぶかのように人の命を扱う様に、そしてその残虐さと凄艶さに、父王や兵士達、カメラマンやスタッフたちは戦慄した。
「はいカット!」
監督の声が、その場に居合わせた人々の意識を現実に引き戻した。
「ぅあ?…はいはい」
「お…俺たちが東京の寂れたスタジオにいてカメラ回してることも忘れかけてたぜ…」
スタッフや共演者たちは、各々頭を振ったり、ぱんぱんと両頬を叩いたりして、ここが現実だと再確認しているようだった。
「おいおい~、そんなんでちゃんと撮れてるのか?つい呑まれちゃうのも解るけどさー」
監督が豪快に笑いながら言う。
「さっすがウルド、オレはこれが観たかったんだ!」
さっきまでウルドの素行に失望していたことも忘れ果てたホーリーが、惜しみない賞賛の声を送る。
鈴音は単純、と心の中だけで思うだけに留め、ニコニコ笑っていた。
「ガキに何ちゅー演目やらせるんだ」
竜星がこっそりツッコミを入れた。
「ねえ。教育に悪いような…」
鈴音も竜星のツッコミに同意した。

確かに、ウルドの演技は恐ろしいほど素晴らしかったけど…

「わかってないなあ神崎竜星くん!!」
監督が大袈裟に首を横に振った。それから、暑苦しく語り始めた。
「まるで傲慢な淫婦のように誤解されがちだが、サロメは本当の恋も知らない純粋な少女なのだ!ただ育った環境が歪み過ぎてて愛情の表現方法を知らないだけで…そんなサロメを演ずるに一番ふさわしい人材は誰だと思うかい?サロメと同じ、ローティーンの少女だよ!!今まではサロメを演じられるだけの演技力を持った少女が居なかったから泣く泣くトウの立ったオバンを登用してただけで、容姿も演技力も申し分ないウルドにサロメをやってもらえればそんな必要も無くなるってことさ!この映画はきっと歴史に刻まれる名作になるぞ。お空のオスカー・ワイルドも喜んでいるだろう。彼が望んだ美少女とグロのマリアージュがここに完成したのだ!年端も行かぬ純粋な美少女のっ、そのさくらんぼ色の唇が侮蔑的に男の命を踏みにじる時そこに至上のエロスが」
「怖いよ~怖いよ~」
鈴音がついにしくしく泣き出した。鈴音を支えてやりながら竜星は呟いた。
「俺には多分一生理解できん…」

「盛り上がっているとこ悪いけど」
百瀬真知子が威圧的な態度でスタジオを横切って監督の前にやってきた。
「やり直しよ、最初から。これじゃあ歴史に名を刻むどころか世界の笑い物よ。私の娘がラジー賞なんて取ったら自決してやるから」
「は?しかし百瀬さん、今日のは今までのウルドの演技の中でも最後だったと思いますが…だよな、みんな」
監督は他のスタッフに同意を求める。
どのスタッフも一様に頷いた。百瀬はイライラと吐き捨てた。
「あーっ、これだから三流と仕事すんのはイヤなのよ!ウルド、貴女は納得してないの、そうでしょう?」
「…うん」
突然話を振られたウルドは曖昧に肯定した。
「うんじゃなくて、どんな風に納得してないのか、事細かにこのオッサンたちに教えてやりなさい!」
「サロメらしさとか…色々足りなかったです。もう少し無邪気っぽくするべきで」
「貴女の演技じゃないのよ全くどいつもこいつもバカばっかり!」
百瀬はウルドに話を降っておきながら、自分でウルドの言葉を中断してしまった。
「まず父王役、サロメが首を所望した時のおののき方がわざとらしすぎる。王妃役、いくらセリフがないからって何の表情も出さずに突っ立ってるのはどうなの学芸会の木じゃあるまいし。何よりヨカナーン役、不細工過ぎてウルドのサロメと絶望的に釣り合わなさすぎる!役者変えるか整形して出直してきなさい!あんたたち三流の大根役者どものせいで私の娘まで調子が狂ってる!!…わかったらやり直しよ」
百瀬の横暴な意見に、監督はじめスタッフ全員が文句たらたらながら持ち場に戻る。鈴音が横目で見たウルドの横顔は、石像のように固く冷たかった。
「…何だありゃ」
竜星が呆れ果てて言った。

その時、パン!!
鋭い音がして、カメラのレンズが数台爆発して砕け散った。

「またなの?!」
百瀬がヒステリックに叫んだ。
「誰がやってるの、出てらっしゃい!こっちには天魔連の一級魔導士が居るのよ?!!」

しかし、誰も出ては来なかった。
竜星も杖を振り、攻撃的な魔力を感知する銀霞を仕掛けてみるが、誰も引っかからなかった。

「ふーん」
竜星は、意味ありげに呟いた。

140601_030625.png

Posted at 23:05 | 未分類 | COM(0) | TB(0) |
2013.11.21

比べて選べるリクエスト

お久しぶりです。

静岡県民なら多分わかる雛人形のみや●でのコマーシャルが放送されるほど、年の瀬が近づいてきたので、クリスマス恒例「お願いカノヒコプロジェクト」。

①鈴ちゃんサンタからマジカルプレゼント!ワンダフルな魔法でプレゼント箱からオモチャと一緒に飛び出し出てくるミニスカサンタな竜子さん(引き気味作り笑顔)

②ミニスカサンタな竜子さん(高飛車ドS女?王)を王座に乗せて神輿のごとく担ぎ上げる野郎共(頭にトナカイ角)+それを生暖かく見守るレディーたち

…の、いずれかのイラストをクリスマスまでに宜しく!

…とはいうもの、勿論学業や自身の趣味を、やるべきことを優先してくれい。拒否権発動可。


※※※※

12月24日 追記。

どうも、カノピコですよ。
オールPC絵はやっぱり苦手。
納期ギリギリすみません。落書きレベルですみません。
来年はもう無理かもしれません。

新規キャンバス





Posted at 20:06 | 未分類 | COM(4) | TB(0) |
2013.02.14

ヴァレンタイン氏のご冥福を

本日は嫌いな相手にチョコレートをぶつけ合い、最後に笑った者が勝ちと言う奇祭、バレンタインデーですね!
その昔、バレンタイン博士が「ワシの死に際にはそのようにして祝うように」と伝えたことから、
お菓子会社の策略も加わり、瞬く間に世界中で開催されるようになったと聞きます。
皆さん、チョコレートは準備出来たんでしょうか? 
生チョコがぶつけた瞬間人肌でぬるりと溶けて最高の嫌がらせと聞き及んでおりますよ! 
手作り菓子なんて投げつけちゃう君!
ただ、投げつける為だけにそんな手間暇かけて、暇人なのだなあ。
中に石を詰めるぐらいの気概は見せてくれよ?

と言う訳で、バレンタインデーです。
貴方はどっちがお好み?
とりあえず、右京君、終了のお知らせです。
スキャナがいかれたので、ケータイカメラの残念画質でお届け致します。申し訳無い。

130214_000011.jpg

Posted at 00:55 | 未分類 | COM(2) | TB(0) |
2013.01.11

2013年抱負

鵜守沌夕今年度の抱負。ウララバでやるべきかもしれないが去年もここでやったので今年もとりあえずこちらに。



卒業するぞーっ!!

仕事を辞めずに続けるぞーっ!!…どーしてもムリそうなら公務員試験に再挑戦する。(←情けない)

何らかの資格に挑戦するぞーっ!!(調理師、製菓衛生士etc)

マジラバ一話くらいは更新したいぞーっ!!(書きかけのエピソードを完成させるのもそれに含む。←情けないpt.2)

マジラバ以外の短編小説も書きたいぞーっ!!



劣等感やら不安やら人の過剰な期待に負けるな!ファイト。



Posted at 06:31 | 未分類 | COM(0) | TB(0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。